「ねぇルック、ぼくが命名しといて何だけどさぁ」
「何、リツ……」
「しーっ、静かに! あのね、美少年攻撃、あれ何でサスケとフッチにまで魔法当てるの?」
「モンスターの近くにいるからたまたま巻き込まれるだけだよ」
「ルックの魔法ってほんとはすっごい精密なのみんな知ってると思うんだけど。モンスターの巻き添えになるって言う割にはふたりとも軽傷だからちゃんとコントロールして手加減したげてるんでしょ?」
「……お子様にはわからない深い理由があるんだよ……」
「アスフェルさん?」
「!! 知ってるならいちいち」
「だーかーらー、わかんないのは、何で傲岸不遜なルックがアスフェルさん以外の他人にそこまで気を使うのかって方!」
「……リツカも気をつけなよ。昔、僕が誰かとレストランに行ったりするたびに何かと疑われて、あいつ相手の彼女やら彼氏やら片っ端から寝取って……。相手同士不倫させたりもしょっちゅうだったし、離婚騒動に幾度巻き込まれたことか……」
「……」
「それで済めばまだしも、恋人がいない人なんかは多重債務に追いやられて自己破産者が続出したよ……」
「……」
「あいつは相手だけでなく周囲にまでも一番効果的にダメージを与えるやり方を知ってるんだよ……」
「……ええと……それだけルック贔屓ってことかな……」
「陰でこそこそ策動するような人が被害に遭ってたから、卑怯なのが嫌いなんじゃない? 僕が疑われるのは心外だったけど」
「いや……多分ルックにだけだと思うよ……」
「? 何で僕だけなのさ?」
「……ぼくは何でルックがわかんないのかわかんない……」
「ルック!!」
「何さ、騒がしい」
「大事件なんだ!! ウインドゥって覚えてる? ルックが覚えてるわけないか、地数星って言ったらわかる? 戦士の村で仲間にした窓職人なんだけど、そのウインドゥはルックとレックナートが去ってから魔術師の塔の飾り窓を工事したんだよ」
「ああ、そういえばあそこもトラン領だね」
「それで大変なものが出てきちゃって……! ルックの部屋に備え付けてあった鏡!」
「あれなら昔からあったよ」
「それがマジックミラーだったんだ!!」
「……裏から見えるっていうあれ?」
「そう、それ!! ルック、着替えとかどこでしてた!?」
「……鏡の前」
「くそっ!! どおりで!! ルックの生写真の大半はレックナートが出所だったんだ!!」
「……師匠……そんなにもお金に困ってたんだ……」
「そういう問題じゃないだろう!! 幸い俺が総力を尽くして収集した分は上半身ヌードくらいしかなかったけど、レックナートが個人的にルックのオールヌードを所有してる可能性が……!!」
「ちょ、ちょっと! アスフェル、鼻血!」
「ルック、しばらく俺がいなくても平気? 身辺に気を付けるんだよ? じゃ、ちょっと行ってくる!!」
「……僕、部屋で全裸にならないけど……、って、え、生写真……?」