どうしても寝付けない夜は、彼のことを考えるようになった。
死ぬために生きてきた自分が、唯一惹かれた瞳。
僕をして彼のためなら師の命でなくとも従わんと思わせる、強い光。
彼だからこそ天魁星が宿ったのだ。
彼だからこそ、宿星の奇跡を起こすことができた。
運命に抗える一握りの黄金。
最も眩く最も気高いものだけが、運命を覆すほどの大いなる力をもつのだ。
だから、僕の運命は、変わらない。
彼が師の悪癖だと一刀のもとに斬り捨てた運命論は、師によって僕の礎石として深く根付いている。
師には百年以上も前から、僕の運命が視えていた。
最初こそ反対の行動を取ろうと足掻いてみたりもしたが、結局は悪夢に魘された。
何とか転換できないかと模索し知識を蓄えれば、恐ろしい夢にさらに実感が伴った。
だが彼はどうだろう。
失策は次の成功に変え、蹉跌を自らの強靭な精神で乗り越えて、夢物語を揺るぎない意志として現世に成就させた。
彼は皆の希望であり、僕の光明であった。
僕の運命を彼に託そうとは、僕の救いを求めようとは思わない。
彼を穢したくない。
きっと彼なら何とかできるのかも知れないが。
彼は、僕にとって。
光だ。
翳らせたくはない。
それでもやはり、彼を見てしまうのは、どうしようもないのだ。
あんなにも煌々としているのだから。
蛾が明かりに群がるように、惹きつけられずにはいられないのだ。
声を聞くだけでもいいと思ってしまう、この抑えがたき欲は、今だけだから。
此度の戦争が終われば、彼も僕も去る、異なる方へ。
だから今だけ。
僕の心を浄化する、ただ、ひとりの。
恋いしいひと。