「聞いちまったんだよ」
「……ん、ロイ?」
「テメェ今寝てたろ」
「……お風呂って、本当に温かいよねぇ」
「溺れんぞ。――まぁ、いーけどな。オレしかいねぇし、何かあったら起こしてやるし。クツロぎたかったらそうすりゃあいい。もたれていいぜ」
「な、何でだかロイがいつになく優しい……!」
「オレぁいつもテメェのことばっか見てやってんだよ馬鹿王子。山賊の観察眼をナメんな。……でな、その観察眼がアダになってよ、こないだ地下で聞いちまったんだ」
「?」
「こー……いやん、ああんっ、みたいな」
「つまり嬌声」
「ソレ。がよー……どー聞いても、特徴的なわけ、レルカーの、ツンケンしてる方の」
「えっ、オロク!? 相手は!?」
「わかんね。オロクだっけか、あいつの声しか聞こえなかったから」
「……んん??」
「そーなんだよ。要するに、オロクが、その……サレてる側っつうか、ホられてるっつうか……しかも、オロクじゃない方が、せーいっぱい耳かっぽじってもほとんど聞こえなかったけどな、どーにも女じゃねぇっぽくてよう……」
「……ちょっと、羨ましいかも」
「おまっ、そー来るか!?」
「僕だってカイルとあんなことやこんなことをしでかしたいんだけどな」
「って言いながら微妙にソレ勃てんなボケ!」
「ロイだって思わないの? リオンと」
「……!!!」
「ロイ、顔が赤いよ。――ふっ」
「カノン!! ンなソソる顔で首筋に息吹きかけんな!!」
「僕ら、とりあえず試してみる? カイルにいきなりはかわいそうだから、練習しておかないと。ロイだってリオンの○○奪うんだったら」
「とか言いながらソコ揉むな! オレを実験台にすんなバカヤローーー!!」
「……ロイ、真っ赤になっちゃって、かわいい。ロイのそういうところ、好きだな」
「し……しんっじらんねぇっ……! このクソボケ王子……!! カノン!! オレの本命が誰か本気で分かってねぇだろッ!!」
「え? ――誰?」
「ぜっっったいに、お前にだけは、死んでも言ってやらねぇッ!!!」