雷閃





 雷が落ちるのを、今か今かと待っている。
「きれいじゃない。あの、閃光が空を白める様は」
 伴う音や後に続く豪雨へはさして頓着しないらしい。いつまでも窓辺にへばりつくルックが、ガラスに額を押し付けて、たまに息を吹きかけては指で太めの丸を描いて。まるで幼い子供のように翡翠を好奇で輝かせている。
 空を破る稲妻。轟く雷鳴。窓ガラスが振動するのを、ルックの方が乾いた額でより感じているだろう。堅牢な建造物さえいとも容易に揺らす自然現象がその猛威を我ら生物に知ろしめる。
 瞬時、部屋の照明が落ちた。
「……怖くはないよ。だって、ここは、安全でしょ?」
 ここ、とルックが指差したのはこの家でなくこの国でもなく、――俺の、胸中。
 俺は咄嗟にそっぽを向いて誤魔化した。


めちゃくちゃ短くて読み応えのあるものを書いてみたかった…。難しい。
20070612