「ん、んぅ……ッ」
最初は啄ばむだけのキス、ぬるりと奥まで侵入し、ルックの呼吸などお構いなしで口腔を思うさま蹂躙し尽くす彼の舌先。
半覚醒ながらどうにか応えていたルックはついに顔を背けて止めた。
「ルぅ、ックぅ、くぅん。あぁ、さぁ、ですよー」
「……キャラ、ちがくない?」
「起きないとー、食べちゃいますよー」
「……いやだからあんた朝から何そのテンション」
「そうかルックはそんなに朝から交ぐわいたいか、それならそうと言えばいいのに、まったくいくつになっても素直じゃないな。ほら、あんまりうるうるした目で見つめられると俺の我慢もすぐ崩れ去るだろうから――ああ、そうやって俺を誘ってる? だとしたらこのうえなく上出来、大成功だ」
完全に螺子の飛んだ発言とともに覆いかぶさる黒髪の、先がルックへはらはら落ちる。
シャワーでも浴びてきたのだろう。ルックの頬へ水滴がかかり、つつうと垂れる感触がした。シャンプーの香りがほのかに漂う。さらに一雫が大きく落ちて、ベッドを濡らす前にアスフェルの手がルックの項ごとわざと淫猥になぞり取った。
にや、とアスフェルが真上で笑う。
「湯冷めしそうだ。シャワーは浴び直しかな。――ふたりで」
ルックは真上へ拳を上げた。
「ひとの、話を、聞けこの淫魔!!」