fear





 再会できたら仕返ししようとか思い切り怒鳴ろうとか、いっぱいいっぱい考えてたんです。

 だけど。

「……ふッ、うぇっ……ひっく」
「泣くなよ、少年」
「ティ、っ……」

 駄目。

 殺されても好き。

 会いたかった。触れたかった。もう一度抱いて欲しかった。
 また殺されても構わないから。貴方のあんな、快楽と凌駕する苦しみを見ることができるのならば、また貴方の手にかかっても。

 事切れる瞬間、やっぱり貴方がそばにいて欲しい。

 懐かしすぎる煙草の匂いに包まれて、僕はひとしきり、涙が枯れるまでティキの胸元で泣きじゃくりました。
 いつもならシャツに染みができると嫌がるくせに、今だけ何も言わないなんて卑怯者。僕はいつまでも泣きやめないじゃないですか。

 死んだら二度と貴方に会えない。
 知ってました?
 僕は、それが、一番怖かったんですよ。


「少年が生き返っちまったら、また殺さなきゃなんねぇんだけど……」

 ティキが僕を抱きしめる、その腕へどうしてこんなにも。

「僕だって、次こそ貴方を倒さなきゃいけないんです」

 力がこもっているのかなんて、僕は良い方にしか解釈しないのに。


灰男ティキアレ。悲恋は苦手なんですが、この2人は必ず通らなきゃいけないわけで。
20070406